経済的な理由で国民年金の免除・猶予を期間がある場合、後から払うことができる「追納」という制度が利用できるのをご存知ですか。
追納することで将来もらえる年金額を増やすことができます。
こちらの記事では、追納のこと、追納がお得になるタイミングについて解説します。
年金の追納は期限がある
追納は、免除・猶予を期間がある場合、後から払うことができる制度です。
国民年金の免除・猶予をすると将来受け取れる年金が減ってしまいます。
追納することで減ってしまった年金額を増やすことができます。
2021年度の場合、老齢基礎年金の満額は、780,900円です。
2年間免除申請すると約761,378円となり約2万円減ってしまいます。
この期間を追納することで満額に増やすことができます。
国民年金の免除・猶予制度では、在学中の保険料が猶予される「学生納付特例制度」が幅広く知られていますが、国民年金の第1号被保険者が利用できる「保険料免除制度・納付猶予制度」も追納の対象になります。
追納の申請は、年金事務所になります。
申請が承認されると納付書が届いて支払うことで追納ができます。
注意点として追納は承認された月から過去10年間の免除・猶予です。
老齢基礎年金は生きている間もらうことができるので、長生きした時のため期間内に追納して増やすことをおすすめします。
追納は免除・猶予から2年以内が良い
追納は免除・猶予してから早く納めれば納めるほどお得になります。
免除・猶予を受けてから3年目以降追納すると、保険料に対して経過期間に応じた「加算額」が上乗せされます。
例えば、2021年度中に追納する場合、2019年度・2020年度の免除・猶予分に加算額はかかりませんが、2018年度以前の分には加算額が上乗せされます。
加算額は、月あたり数十円~数百円となり、年数が経過するほど高くなります。
2020年2月以降の保険料については、新型コロナウイルスの臨時特例としての免除・猶予(学生納付特例含む)が受け付けられています。
この特例を利用している人のなかには、免除・猶予を受けてからそろそろ2年経つ人もいるのではないでしょうか。
追納が可能な状態なら、早めに申請することをおすすめします。
所得税・住民税の軽減できる
追納した保険料は、その年の社会保険料控除として所得控除されるので所得税・住民税の負担を軽くすることができます。
例えば、2019年度、2020年度免除申請していない場合、課税所得金額を200万円とします。
追納しない場合、所得税と住民税は、
- 所得税(5%)100,000円、復興特別所得税(所得税×2.1%)=2,100円
- 住民税(10%)200,000円
- 所得税と住民税の合計額302,100円
追納した場合、所得税と住民税は、
- 追納額(2年分)2020年度:198,480円 2019年度:196,920円 計395,400円
- 課税所得金額 2,000,000−395,400円=1,604,600円
- 所得税(5%)80,230円 復興特別所得税(所得税×2.1%)=1,685円
- 住民税(10%)160,460円
- 所得税と住民税の合計額242,375円
追納を行わなかった場合と行った場合の所得税・住民税合計額の差は59,725円となります。
所得が増えた年に追納すれば、節税効果も上がります。
所得が一定数あるなら、追納保険料の所得控除によって税負担が減らせる可能性があることを知っておきましょう。
追納保険料の所得控除は、会社なら年末調整、個人事業主やフリーランスなら確定申告でおこないます。
追納したら忘れずに手続きしましょう。
まとめ
追納のこと、追納がお得になるタイミングについて解説しました。
追納の期限は、保険料の免除・猶予を受けてから10年以内です。
保険料の免除・猶予を受けている人のなかには、意外と追納の仕組みや期限を知らない人も多いので注意しましょう。
期限を過ぎてしまうと、将来の年金額を増やすチャンスを逃してしまいます。
会社員として働いて経済的に余裕が出てきた時、個人事業主やフリーランスとして活動して売上が上がってきた時に追納できる状況であれば早めに申請して、将来の年金を増やしていきましょう。