自民、公明両党が12月16日決定した2023年度「税制改正大綱」が発表されました。
その中で、新NISAについて2024年以降大幅に変わります。
新NISAについての制度と2024年以降どうなるのか解説します。
NISAとは?
NISA(少額投資非課税制度)とは金融商品に投資し、そこから得られる利益や配当金などを非課税で受け取ることができる制度です。
通常であれば、株式投資や投資信託などの金融商品に投資して、売却をして得た利益・配当分は、受け取った分に対して20.315%の税金がかかります。
通常(特定口座)で資産運用するより、NISA口座で資産運用した方が税金の負担が無くなり、手元に残る金額が増えるということです。
NISAの種類
NISAが始まったのは、2014年です。
NISAには3種類あります。
「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」です。
一般NISA
一般NISAは、年間投資上限額が120万円、非課税期間が5年間、合計600万円非課税枠を使うことができます。
ロールオーバーできます。
ロールオーバーとは、非課税期間が終了した際に、保有している金融商品を、翌年の新たな非課税投資枠に移行(移管)することです。
対象商品は、株式、ETF、投資信託、REITなどです。
ETFとは、Exchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種です。
投資信託とは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。
REITとは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品です。
購入は、通常買い付けか積立になります。
引き出しは、いつでも可能です。
購入可能期間は、2023年までです。
対象者は、日本在住の20歳以上です。
2023年1月1日以降は18歳以上になります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、年間投資上限額が40万円、非課税期間が20年間、合計800万円非課税枠を使うことができます。
ロールオーバーできません。
対象商品は、ETF、投資信託などです。
購入は、積立のみになります。
引き出しは、いつでも可能です。
購入可能期間は、2042年までです。
対象者は、日本在住の20歳以上です。
2023年1月1日以降は18歳以上になります。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは、年間投資上限額が80万円、非課税期間が5年間です。
ロールオーバーできます。
対象商品は、ETF、投資信託などです。
購入は、積立のみになります。
引き出しは、18歳まで原則不可です。
購入可能期間は、2023年までです。
対象者は、日本在住の20歳未満です。
2023年1月1日以降は18歳未満になります。
2024年以降新NISA何が変わるの?
2024年からは、税制改正により、NISA制度が変わって、今より長期積立ができるようになったり、投資金額の上限が増えたりして、資産形成を後押しをすることになります。
一般NISAを利用してる場合は、2024年から自動的に新NISA制度に移行される予定です。
2024年以降新NISA何が変わるのかお伝えします。
一般NISA⇒新NISA
つみたてNISA⇒つみたてNISA
ジュニアNISA⇒終了
新NISAは、一般NISAとつみたてNISA1本化になる
今までは、一般NISAとつみたてNISA1本ずつ分かれていましたが、2024年からは、新NISAになり、
一般NISAとつみたてNISA1本化になります。
新NISAは、2階建てになっていて、1階と2階部分では、扱う金融商品が異なります。
1階建て部分/積立投資枠
つみたてNISA部分で、扱う金融商品が長期による積立、分散投資に適した投資信託になります。
2階建て部分/成長投資枠
一般NISAから成長投資枠に名称が変わります。
一般NISAの部分で、扱う金融商品が上場株式やETF、公募株式投信、REITなどになります。
ただし、長期投資に向いていないレバレッジ型の投資信託や上場廃止になりそうな株式は除外されることになります。
ジュニアNISA終了
ジュニアNISA口座で新規に金融商品を購入できるのは、2023年末までとなります。
理由としては、利用者があまり増えていないことが原因なのではないかと考えられます。
ジュニアNISAは、一般NISA・つみたてNISAと異なり、いつでも引き出すことができません。
本人が18歳になってからようやく引き出すことができます。
2024年以降は、全て払い出す場合には非課税で引き出すことができます。
また、2023年末までジュニアNISA口座を持っている場合は、非課税期間終了まで制度を利用することができます。
新NISAの投資可能期間の恒久化
今までは、「一般NISA」2023年、「つみたてNISA」2042年までとなって、投資期間が決まってました。
2024年以降の新NISAでは、恒久化になり、期間が長くなりました。
新NISAの非課税期間の無期限化
今までは、「一般NISA」5年、「つみたてNISA」20年となって、非課税期間が決まってました。
2024年以降の新NISAでは、無期限化になり、期間が長くなりました。
新NISAの投資枠の上限引き上げ
今までは、「一般NISA」120万円、「つみたてNISA」40万円までの投資枠となっていました。
2024年以降の新NISAでは、360万円になり、投資枠が拡大されました。
具体的には、1階建て部分の積立投資枠分として今より3倍の「120万円」。
2階建て部分の成長投資枠として今より2倍の「240万円」。
1階、2階合わせて「360万円」の投資枠になります。
非課税限度額も変わります。
今までは、「一般NISA」600万円、「つみたてNISA」800万円までの非課税限度額となっていました。
2024年以降の新NISAでは、1800万円になり、非課税限度額が引きあがりました。
成長投資枠は、1200万円までになります。
積立投資枠分は、成長投資枠の金額によります。
例えば、成長投資枠が300万円の場合、積立投資枠分は1500万円まで投資することができます。
極端な例で、成長投資枠なしの場合、積立投資枠分は1800万円まで投資することができます。
注意点として新NISA制度は、今のNISAとは別です。
今までの投資した金額関係なく2024年から1800万円まで投資することができます。
まとめると
【現行】
つみたて40万円×20年 最大800万円 2042年まで
一般120万円×5年 最大600万円 2023年まで
【新NISA2024年1月~】
積立投資枠120万円×無期限
成長投資枠240万円×無期限
最大買付残高1800万円うち成長投資枠1200万円
今使っているNISA口座どうなる?
一般NISAを利用してる場合は、2024年から自動的に新NISA制度に移行される予定です。
つみたてNISAを利用してる場合は、引き続き利用することになります。
2042年まで積み立て可能です。
ジュニアNISAは、2023年末に終了します。
2024年1月1日時点で18歳になる場合は、自動的に「新NISA」口座が開設されます。
「新NISA」へロールオーバーする場合には、手続きが必要です。
自動的にロールオーバーはされませんので注意が必要です。
ロールオーバーとは、非課税期間が終了した際に、保有している金融商品を、翌年の新たな非課税投資枠に移行(移管)することです。
2023年にNISA口座開設して問題ない?
結論から申し上げると、問題ありません。
今のNISAと新NISAは別ものです。
今までのNISA口座で非課税の恩恵を受けていたとしても、新NISAの投資枠1800万円を使うことができます。
注意点として、NISA口座を新NISA口座に移行することはできません。
NISA口座は今のルールに合わせて金融商品を保有することになります。
まとめ
新NISAについての制度と2024年以降どうなるのか解説しました。
新NISAになることで
一般NISA⇒新NISA
つみたてNISA⇒つみたてNISA
ジュニアNISA⇒終了
になります。
変更点としては、
- 新NISAは、一般NISAとつみたてNISA1本化になる
- ジュニアNISA終了
- 新NISAの投資可能期間の恒久化
- 新NISAの非課税期間の無期限化
- 新NISAの投資枠の上限引き上げ
です。
新NISAは、簡単にまとめると、
- 積立投資枠120万円×無期限
- 成長投資枠240万円×無期限
- 最大買付残高1800万円うち成長投資枠1200万円
一般は、「成長投資枠」に名称が変わります。
自民党税制調査会は、“定期的に積み立てて長期保有していけば、経済の成長と共に増えていく。おそらく一石を投じる制度になるだろう”とコメントしています。
新NISA制度によって話題になり、活用する人が増えていくだろうと予想されます。
新NISAは、投資可能期間の恒久化、非課税期間の無期限化、投資枠の上限引き上げになったので、大きい金額になればなるほど大きな恩恵を受けます。
投資は、絶対黒字になるわけではありません。
リスクというものがあります。
基本的に投資は、余剰資金の中で行うのが良いです。
投資金額を大きくしていくには大きな余裕資金が必要にあります。
企業の賃上げ、副業収入で稼ぐ、固定費の見直しをしたり自分の中で今よりも余裕資金を作る力が必要になります。
投資はリスクはありますが、預金だけで資産を増やすのはとても大変です。
もしかしたら投資をすることで預金よりも大きな金額の差が出ることも少なくありません。
チャレンジすることが大事です。
2023年から始めるのもよし、2024年の新NISAで始めるのもよしです。
自分のライフステージに合わせて、投資する金融商品や投資時期の分散など、どのような投資方法でリスクを減らして運用していくかが大切です。
投資を始めることで金融リテラシーを上げるきっかけになるかもしれません。